平成十六年十月八日をもって三宝禅の管長に就任することとなりました。
まず、永年にわたり管長の重責を担われた窪田慈雲老師に心から感謝の意を表したいと思います。
窪田老師は、山田耕雲老師遷化に伴い、一九八九年十月三宝禅管長に就任され、以来十五年にわたり教団の運営、教化活動に全力を投じてこられました。この間三雲禅堂におけるご指導はもとより、ヨーロッパ、オーストラリア、シンガポール、フィリッピン等々海外における禅の指導、普及活動を精力的に展開されました。窪田老師のご指導のもとで多くの方々が真の自己に遭遇し、また多数の禅師家、禅教師が誕生いたしました。窪田老師の深い菩提心に心から敬意と感謝の意を表したいと思います。
三宝禅は安谷白雲老師が「正伝の仏道を信解行証し、これを全世界に広宣流布する」ことを目的として、一九五四年に三宝教団として結成されました。その五十年後、安谷白雲老師、山田耕雲老師、窪田慈雲老師と承継された管長の大役を拝受することに深い法縁を感じます。三宝教団組成から間もなく、当時まだ高校生であった私は安谷老師に相見を許され、無字の公案を頂き、見性までの六年半ご懇切なご指導をいただきました。その後父親でもある山田耕雲老師の二十五年にわたる導きによりなんとか今日に至ったのです。
三宝禅のために微力を尽くし、安谷白雲老師、山田耕雲老師の大恩に報いなければとの思いです。
皆様ご承知の通り「正伝の仏道を信解行証」するために「道元禅師の法門を通して仏道の原点に立つ」というのが三宝禅の基本的立場です。
さらに「仏道の原点に立つ」ためには「坐ること」すなわち「坐禅」こそが基本の中の基本、原点の中の原点、との立場です。
すなわち三宝禅の活動にとってなによりも大切なことは「坐ること」です。公案でもなければ提唱でもない。読経でもなければ禅堂の規矩でもない。
「ただひたすら坐る」ことの大切さと素晴らしさを忘れず、皆様と力をあわせて三宝禅の更なる発展に力を尽くしたいと思います。
皆様のご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
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